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さくら野俳壇-2010- |
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* 初霜やテロの傷跡消えぬ橋 * 落葉にも国籍いろいろ見本市 * 館外で煙草吸ふ群れ冬ぬくし * 旬の幸煮込みて赤き兎かな * 窓高く時雨にけぶる石の古都 * アリダ・ヴァッリに逢へる逢へない冬木立 * 空港へゴシック街道ポプラ枯る 《果豆》 (2010.12.03) |
* 瀬音ごと噛む沢蟹のスパゲッティ * 青山椒似たもの同士摘み摘まれ * 競ひ合ふ雲の峰々父祖の山 * 炎天のフォロロマーノに抱かれし日 * 秋立つやいなや着席してしまふ * 蜩よショパンとシューマン同い年 * 墓洗ふご先祖に逢ふその日まで * 震災忌母の記憶の不思議かな * 箙なき国を弦月照らしをり 《果豆》 (2010.10.05) |
* 心機一転気合負け越し更衣 * 柚の花てふ白き皇女に棘(ばら)侍り * 禁断の鑑賞用枇杷また食べた(不味かった!) * 入梅宣言も後出しじやんけんお気楽士 * 微笑して子に従はず柿の花 《果豆》 (2010.6.24) |
* ぜんまい伸ぶあつとまあくの青二才 * 蕗広葉コロボックルはきれい好き * 木の芽摘む痛し食べたし二指黒く * 完黙や土間灯しをる雉剥製 * 雀の子すいすいぴつと見得を切り 《果豆》 (2010.5.28) |
* 身を焦がす恋のあとさき白蓮花 * 初花を愛づる遺伝子とこしなへ * まじまじと魚の貌見し万愚節 * 黄色ピンク黄色うららに攻め合ひて * 春疾風添付ファイルが開けない 《果豆》 (2010.4.15) |
* 遅梅よ新島八重はまだ来ぬか * 朝東風や俄か筋トレ埒のそと * 青き踏む朗々介護と娯変換 * 迷子種の知らぬ極北鳥雲に * 咲き急ぐ辛夷きつぱりアルデンテ 《果豆》 (2010.3.23) |
* 寒梅を手向く駅裏古戦場 * 春隣ふり向く猫の面構へ * 柊挿す風はひゆうびゆうぴゆうと拗ね * 煮干しでも効果てきめん追儺かな * 牡丹雪の紗幕を透かし街黙す 《果豆》 (2010.2.18) |
* 冬林檎しやきつと齧る夜の火照り * 注連縄と塩ビぐるぐる大欅 * せつかちのせつかち故に年惜しむ * 億分の一秒連ね去年今年 * 虎子要らず虎の子大事初詣 * 千両の己が実捨つる重さかな * 初湯とて上がらぬ水位上がれぬか 《果豆》 (2010.1.25.) |